2012年4月4日水曜日

2011年10月12日のブログ|ある脳外科医のぼやき


今回の記事は、

いわゆる「神の手」についてです。

ゴッドハンド、という言葉が優れた外科医に使われるようになったのは、

いつの頃からでしょうか。

ゴッドハンドという言葉自体はそもそも、

アダムスミスの国富論であったり、

ディエゴ・マラドーナの伝説のゴール、

極心カラテの創始者、大山倍達の手刀、

などなど、様々な分野で登場します。

その中でも、特に外科医に対して使われる、「ゴッドハンド」「神の手」、

という単語は、

ここ10年前後で急速に一般化したと思います。

スーパードクター特集などで、

こぞってこの単語を使うマスコミや、

漫画やドラマ、アニメなどの影響が大きいでしょう。

この言葉に対して、皆さんはどういっ� ��イメージをお持ちでしょうか?

おそらくは、

「人離れした華麗なテクニックで、どんな難手術も易々こなしてしまう」

という印象が一番多いのではないかと思います。

確かに、

これはあながち外れではありません。

世の中でゴッドハンド、と呼ばれるような外科医が担当するのは、

ほとんどが他では出来ないような難症例ばかりです。

しかし、

実際にゴッドハンドと呼ばれる外科医の手術で登場するのは、


末期がんの兆候は何ですか

いわゆるアニメやドラマの世界のような「人離れした超絶テクニック」というのとは若干性格が異なります。

よくある、

「眼にも留まらない」

だとか、

「華麗」

というようなものとも少し違います。

僕も、

数々のいわゆる「神の手」と呼ばれる方の手術を見てきました。

それに共通して言えるのは、

「神の手」といわれる方の手術ほど、「簡単」に見える、ということです。

もちろん、

顕微鏡下の血管吻合など、

中には「おーっ!」と思うような物もありますが、

それでも、大抵は見ている分には簡単そうに見えるのです。

淀みなく行われ、危なげない、というのがそう見え� ��所以だろうと思います。

つまるところ、

「神の手」と呼ばれるような人の手術は、

無駄が極限までそぎ落とされている、という感じです。

一つ一つの手技を見る分には、

「これは到底できない」というような物でもないのですが、

トータルで見ると、

「あれだけ大変な手術がこんな短時間で、よどみなく終わってしまった」

というような印象となるのです。

これは、

まずは手術の戦略自体が少しも無駄がない、

ということと、


precptive何を意味している

堅実に最も確実な手技で危なげなく進めている、ということなのだろうと思うのです。

つまりは、

「神の手」というのは、

決して突出した才能による「神がかり的な手技」によるものではなく、

「極限まで無駄をそぎ落とす」というたゆまない努力によって生まれるものだろうと思います。

少しでも効率的に、安全に手術を行うにはどうするか?

を探求した末にたどり着くものなのでしょう。

誰もが「神の手」になりえないのは、

多少はセンスの影響はあったとしても、

最終的には「どこまで突き詰めようとするか」の気合いによるものだと思っています。

そして、

「神の手」と呼ばれる外科医であっても� �

皆人間です。

結果として易々と行われているような手術であったとしても、

やはり手術の最中は必死そのものです。

同じ脳外科の世界でも、

ある、ギネス記録を持つような方の手術を見に行ったことがあります。

多数の難症例をこなしているその先生でさえ、

毎手術ごとに必死で、真剣そのものでした。

「神の手」であったとしても、

同じく手術の恐怖やリスクと戦いながら、

常にベストを尽くして手術と向き合っているのです。


熱が点滅するため何をすべきか

「神の手」だから簡単に出来るだろう、というような認識がもしも一般の方にあったとしたら、

それは間違いです。

「神の手」であろうと悩み、時によっては半べそをかきながら手術をしているのです。

それを忘れないでください。

昨今のテレビ特集などを見ていると、

いかにも「神の手」と呼ばれる外科医が易々と難手術をこなしている、

という印象を植え付けることがありますが、

必ずしもそうではないのです。

そして、

そういったエキスパートになればなるほど、

必ずといっていいほど、辛いこともあるのです。

「神の手」と呼ばれる医師の実像に触れていると、

その苦悩の存在に気づ� ��されます。

これはエキスパートの宿命といえます。

その宿命については、

少し長くなってきましたので、次回に続きます。

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